◆こんな基礎にご注意!基礎の注意点・危ない基礎・耐震補強。古民家リフォームの現場より。
豊田の古民家再生事例:I様邸の施工レポート
愛知県豊田市の古民家再生プロジェクト「I様邸」の施工レポートをお届けします。
築100年超の古民家リフォーム
この古民家は築100年を超える建物で、30年前に曳き家され、当時の基礎工事が施されました。基礎を造って、その上に民家を引っ張ってきて移築されたのですが、問題が発生しています。
当時作られた基礎はこんな姿です。
何か変ですよね。お気づきですか?
問題の基礎工事とその改善
釘打ちの羽子板ボルトが土台の横腹に取り付けられており、コンクリート立ち上がり部をよく見ると、後からモルタルを埋めた形跡がハッキリわかりますね。横腹に、釘打ちでは、なんともまずい。
そうなんです、アンカー(羽子板)ボルトを、土台が座った後でくっつけるという、考えられないような危険な施工がなされていました。
この状態では、地震時に土台が基礎から外れ落ちる可能性があります。既にモルタルが取れている場所も見受けられます。
こんな基礎なら、無い方がいいですね。何とかしなければなりません。
自社工場で補強金物を作成
そこで、マツミでは、自社工場で特製の補強金物を制作することにしました。
鉄琴のような姿で、思わず叩きたくなりますが、構造上の安全性を大幅に向上させる金物です。これを使って40ヶ所にわたる補強を実施しました。
建物が完成してしまえば、見た目にはわからない場所に取り付けられるパーツですが、縁の下の力持ちのごとく床下で踏ん張ってくれる頼もしい補強金物です。
稲沢市の古民家リノベーション事例:H様邸の施工レポート
一方こちらは、愛知県稲沢市にあるH様邸の古民家の耐震リノベーションです。
基礎なしの古民家補強
こちらの家屋にはごらんのとおり、基礎がありません。大きな漬物石の上に柱が建てられていますが、しっかりとした「足固め」が施されています。
ただ、仕口が不安定だったため羽子板ボルトで補強を施し、より安全性を高めました。
古い建物では、過去の改装工事で「足固め」が単なる「大引き」と誤解され、知らずに撤去されてしまうケースがしばしば見受けられます。そのような場合は、状況を慎重に判断し、適切な対応を取り入れて安全性を確保するよう努めています。
なぜ、古い家は基礎を持たず、漬物石(いわゆる「置き石」や「根石」)の上に建っているの?
なぜ漬物石の上に建てたのか?
現代に暮らす皆さんは、漬物石の上に家が?ってびっくりするかもしれません。どうして漬物石の上に建てたのでしょう?
-
地震に対する柔軟性: 漬物石の上に建てられた家は、地震の際に建物が揺れに合わせて動くことができるため、揺れを逃がしやすいとされていました。基礎がないため、建物が部分的に浮いてしまうことがなく、揺れに応じて建物全体が移動することで、全壊を防ぐ効果が期待されていました。
-
伝統的な建築方法: このような建築方法は、日本の伝統的な木造建築に多く見られます。木材は湿気を嫌うため、建物を地面から浮かせておくことで、通気性を確保し、木材の腐食を防ぐことができました。また、当時の技術や資材の限界からも、このようなシンプルな基礎が一般的でした。
-
簡便さと経済性: 石を基礎にする方法は、当時の技術レベルや資材に見合った簡便で経済的な方法でした。大規模な基礎工事が不要で、建築費用や労力を抑えることができました。
昔の家づくりは、自然と共存し、知恵を活かした工夫に満ちていました。その伝統的な技術と美意識は、現代にも多くの教訓を与えてくれます。こうした家が今も存在していることは、日本の建築文化の豊かさを物語っているのです。
古民家リノベーションにおいて、基礎や補強の重要性は見た目以上に大切です。松美建設では、できる限り見た目を損なわずに安全性を高める施工を行っております。耐震補強や住まいのリノベーションをご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。
各種無料相談会も開催しています。