家づくりの小箱・暮らしのヒント 自己紹介

「家づくりの小箱・ インフルエンザと木のお話」

公開日:2013/06/06(木) 更新日:2013/06/06(木) 家づくり・暮らしのヒント

 

 

 

「はっくしょん!」
「なんだ?マー坊風邪でもひいたか?」

「すいません。なんだかちょっと寒気が。風邪かな?」
「大丈夫か?風邪は万病の元だっていうからな。早めに治せよ」

「しかしあれだな、最近の若いのは弱っちいな。そう考えるとやっぱり最近の住環境に関係があるのかもしれないな。
俺っちの若い頃はそう簡単に風邪なんかひかなかったがな~」

「えっ?そうなんすか?だけどボクらの方が家もしっかりしてて風邪ひきにくいんじゃないんですか?
親方の時代はドアも壁もほとんど木でしょ?隙間風とかすごかったんじゃないすか?」

「親方もアオッパナ垂らしてたんじゃないんすか?」


             
「むっ。。」
「ハッ!!あわわ、すいません。生意気言って」

「確かに隙間風はあったかもしれないが、やっぱり木の家は違うぞ。こんな話知らないか?
以前木造校舎とRC校舎の建材の違いによる、児童への影響を調べた研究があったんだ。」

「近年、授業中の子供たちの集中力や落ち着きがなくなったという話をよく聞くだろう?
校舎の建築材料がその原因のひとつかもしれないといわれているんだ。」
「へぇ~、興味深いですね。」

「それによると・・・木造校舎とRC校舎での比較では、特に病欠、それもインフルエンザの発生率に大きな違いが現れたんだ。」
「なんだか、小難しいグラフが出てきましたね。」

「小難しいとはなんだ!要するに緑色の棒が木造でねずみ色の棒がRCってことだ。別に難しかない。」
「あ、そうすね。どれどれ?」

 

1学級当りの割合(%)
生徒1人当りの割合(%)
生徒1人当りの割合(%)
生徒1人当りの割合(%)
    
インフルエンザによる
学級閉鎖数
病気欠席者数
事故欠席者数
不登校児童数
※調査概要:全国422校へ児童の欠席理由をアンケート調査。欠席者数を全児童数で除して
児童1人当りの欠席割合に換算したもの。事故欠席には学校外での事故も含まれる。
■データは「木造校舎の教育環境-校舎建築材料が子ども・教師・教育活動に及ぼす影響」
(財)日本住宅・木材技術センター発刊より引用。

 

「ほんとだ・・木の校舎の方が断然少ないですね。どうしてかな?」

「うう~ん、俺っちには専門的なことは分からないが、木の香りや調湿機能や抗菌性などが心と体に安らぎを与えていると
考えられていて木の持つ抗菌性や殺菌力がインフルエンザの菌を増殖させないのかもしれないな。」

「木にはフトンチッドというリラックス効果をもたらす成分も含まれていて、
俺っちたちも知らないうちに木に癒されているんじゃないのかな。」
「親方、それを言うならフトンじゃなくてフィトンチッドですよ」

「木ちゅうもんは中に空気を含みやすいため、熱を伝えにくい性質を持ってんだ。
だから肌で触れても体から熱を奪いにくい。触るとぬくもりを感じるだろう。
反対にコンクリートの場合では体が冷えてしまう。マー坊はマウスの話を知ってるだろう? 」

 

             
「はい。知ってます。木の箱のマウスは長生きしたという実験ですね。あれはボクも驚きました。」


「ところで、実際に木とRC構造で体に及ぼす影響の違いがあるのか調べるために10℃っていう低温設定で
木の床とコンクリートの床で40分過ごすという実験も行われたんだそうだ。


結果は同じ室温なのに、コンクリート床では木の床に比べて手足の冷えが強く、眠気やだるさに加え
注意力や集中力の低下が見られたということだ。」

「へーっ!それって大変なことですね。だってボクの過ごした学校も病気になるとお世話になる病院も
ほとんどがコンクリート造りですよ!!」


「うん、ほんとに大変だな。学校や幼稚園・老人ホームや病院が冷たいコンクリート造りでは、
みんなストレスがたまってしまうよなぁ・・・特に学校では集中力が求められる場所なのに、
それができないのはしんどいよなぁ。しかもストレスってのは目に見えないからやっかいだな。」


「だから最近では少しづつ木の施設が見直されていて、生徒の使う机や椅子も一部の学校では昔みたいに
木の机と椅子にまた戻し始めている。」

「こういう取り組みは非常にいいことだと思うぞ。一からはじめるのはとても大変なことだが、
木の学校が増えればいじめや不登校も少なくなるかもしれないな。
木造校舎にすれば集中力がアップということなら子供部屋を木で作れば東大も夢じゃないゾ~!」
「親方、それは大げさなんじゃ・・・」

「ちょっと大げさな話だったか、すまん。」
「いや、別に謝るほどのことでもないっすけど。ヘンなとこで素直ですね」


「全部を木でやり直すのが大変なら、部屋や施設の一部分、例えば床や壁など肌に触れる部分を木に
変えるだけでも随分変わってくるはずだ。」

「もちろん公共施設だけじゃなく、自分たちの住む家にも積極的に木を取り入れていけば、より快適で健康的な住まいになる。」

「木の床にすれば掃除もしやすくなるし、木の持つフトンチッドにはダニを寄せつけない効果もあるから、
アレルギーの改善にも一役買ってくれるだろう。」

「そうですね。あらためてこうやって考えると木ってすごいんですね!でも親方、
フトンチッドじゃないんだけどな~~フィトンチッドですって。。。」


「ん~?フトンもフィトンも似たようなもんだろ。すなわち俺っちの子供時代は家も、学校も木造校舎だったから
マー坊たち今の若いモンより風邪もひかねえし体が丈夫にできてるのさ。。。!まだまだ若いもんには負けやしないぞ。」

「はっ。。。はっ。。。ぶぇっくしょん!!!」

「お、親方鼻水たれてます。。。」

 

2ページ (全2ページ中)